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コーヒーのしずくと紙のしみ

好きなこと書いていけたらいいなって思います。

誰のためのデザイン?

 

誰のためのデザイン?―認知科学者のデザイン原論 (新曜社認知科学選書)

誰のためのデザイン?―認知科学者のデザイン原論 (新曜社認知科学選書)

 

  中秋の名月も過ぎ、夏の終わりは予感ではなく確信に変わりました。夏が終わる頃までとちょっぴり考えていたことがあったのですが、何事も無く過ぎて、良かったのやら良くなかったのやら。

 

 以前に友人からオススメの本と受けて聞いており、なかなか読むタイミングが無く、逃してしまっていたのですが、ふと改めて会社の本棚を見たら、何回も本棚は確認しているはずなのに、その薦められた本が見つかりました。「誰のためのデザイン?」

原題は”The Psychology of Everyday Things”「毎日使う道具の心理学」著者は心理学の教授であり、あくまでも心理学の観点からのデザインへの見解と理解しました。

 

ー著者ドナルド・A・ノーマンは、認知心理学者であり、ヒューマンインタフェース研究の草分け的存在だ。そして本書は、電話機、パソコン、蛇口、コンロなど、私たちの身の周りにある道具と人間の関係を真剣に考える、道具の心理学の本である。(本作内容)

 

 まずデザインとは何でしょうか。

 芸術物を評価する際に、レイアウトがどうだとか、表現内容がどうだとか、言う際に「デザインが良い」というように芸術・美術的な意味も含んでいます。

 いったん区切りを設けまして、このアート的なデザインではなく、日常私達が触れるモノに対するデザインを現す、言わばプロダクトデザインとして今回は理解していただきたいです。

 改めましてデザインとは、デッサン(dessin)と同じく、“計画を記号に表す”という意味のラテン語desighnareが語源です。

つまりデザインとは「設計」と理解できます。モノをより良い記号として整えるための計画です。

 私達が日常触れる、例えば電子レンジだとか洗濯機に対して、「デザインが良い」「デザインが悪い」と言ったときには意図せずに外見のみではなく設計に対して意見していたと言えます。

 雑誌「広告批評」の故・天野祐吉さんが「大切なのは中身だ、外見じゃない」という常識へのアンチテーゼとして「外見はいちばん外側の中身だ」と仰っていました。

人に対する言葉としてはいったん置いときまして、物への言葉として捉えたときにも目に見える所までがその物の性質、魅力を表すとしたときに私達は得てして、まずは見た目で判断します。それも含めて設計としてのデザインなのですね。

 

初っ端から思いっきり話が逸れてしまいました。

 本作は一言で言うと、「ある道具があった場合に、上手く使えなかったとしたらそれはあなたのせいではなく、ある道具のデザインのせいである」ということを述べています。 

−材料の心理学・道具の心理学の出発点となる研究は、もうすでにある。事物のアフォーダンスに関する研究である。ここで、アフォーダンスと言う言葉は事物の知覚された特徴あるいは現実の特徴、とりわけ、そのものをどのように使うことが出来るかを決定する最も基礎的な特徴の意味で使われている。(作中P14)

 

例えば木で出来た鉛筆が目の前にあった場合、私はそれをどのように判断するか。

削られた状態であれば、恐らく先端の黒鉛が、表面の荒い紙等に、文字や絵を描くために使うもの、もしくは動物を刺すのに適した道具と判断します。

後者はさておき、それが「鉛筆」のもつアフォーダンスによって知覚し、物をどう扱ったらよいかについて強力な手がかりを提供してくれるのです。

 以前に少しお話したインターフェイスであり、いちばん外側の中身である物体としてのデザインによって私が道具を認知した際の心理的な作用を促すものです。

なので、目の前に差し出された道具を見て、どう使えばいいのか、どう操作すれば良いのかと困惑してしまうといった類の因果性認識を起こしてしまうのはデザインが悪いからなのです。

 という具合にお話を細かく事例を持ち出してお話されています。

新鮮な内容という具合ではないのですが、改めまして自身が何かを知覚される形で提供した際に、提供された側がどう思うのかというものを見つめる材料にはなります。

良いデザインとは、表層的にカッコイイとかスタイリッシュであるものではなく、ひと目みたときにその道具が持つ機能・役割が理解できるものと言うことです。

改めて周りを見てみれば、道具の見た目としてどうなのかというものが多くありふれています。

 

 1990年に発売されてプロダクトデザインや認知心理学の分野ではとても重要な観点として未だに教科書として用いられている内容。デザインをするとき、もしくは道具を選ぶ際に、意識的であれば、意識の外であれ、どういった心理的判断がされているのか、改めて立ち返るのは面白そうだなと思いました。少し議論してみたい内容です。