コーヒーのしずくと紙のしみ

好きなこと書いていけたらいいなって思います。

読書は格闘技

 

読書は格闘技

読書は格闘技

 

  ゴールデンウィークの合間、長い休みであっても、日常やることそう大差はありません。改めまして、今年のゴールデンウィークを設定した人には若干の苛立ちを覚えていますが、そんなこと、ここで言ってもしょうがありませんね。

 

 基本的に本を読んで連々と思ったことをここで書いている訳なのですが、一度読書とは何かを問うてみたいと思います。

ドイツの哲学者ショーペンハウエルは自著「読書について」でこう言っています。

ー読書は、他人にものを考えてもらうことである。一日を多読に費やす勤勉は人間は、しだいに自分でものを考える力を失っていく。

とても皮肉の効いた内容ですが、こう理解出来ます。

「本に書いてあるのをそのまま鵜呑みにするのではなく、読んだ上で自分の脳みそをフルに使って考えましょうね。」

昨今では速読が流行りそれにより多読が、読書を趣味と言うような連中の間では、ステイタスと感じておられる方もいます。けれどもゴミみたいな本を何冊読もうが大した意味はなく、一冊の本を通じて自分がどれだけ何を感じたか、考えたかに読書という行為の価値があると感じます。そんな風に本を読めている訳ではないのですが、一つの理想として置いております。

また本の中には、ゴミのような本もあれば、良書と呼ばれる読むべき本も玉石混交となっております。数をこなして、自分にとっての良書を探しだす審美眼の養いも必要になるため、多読に意味が無いとは言い切れません。

 

前置きが長くなりましたが、今回は断定的なタイトルで読書について書いた本です。

−武器となる“最強の読書術”&“ブックガイド”。いま必要なテーマについて、主張の異なる「良書」を熟読し、自らの考えを進化させる―。読書を通じた、能動的且つ実践的な知的プロセスの真髄を伝授。(本作内容)

 

 読書とは・・・格闘技である。つまり「書籍を読むとは、単に受動的に読むだけでなく、著者が語りに対して、「本当にそうなのか」と疑い、反証するなかで、自分の考えを作っていくという知的プロセス」と作中で語られています。一冊の本に対しての正しい向き合い方とは、鵜呑みにするのではなく本当にそうなのか?と懐疑的な眼差しでもって真剣に作者と向き合う必要があるのではないでしょうか。

真剣であるから作者の言葉に傾聴し、おかしいと思った時に質問や反論が出てくるものです。真剣だから言葉が出てくるのです。

そこで著者は、同じジャンルだけれど切り口観点がまったく別の2冊の本を選び取り、それに対して各々の内容をかいつまみ著者の意見を盛り込んでいます。

一つ勘違いしないでいただきたいのは、2冊の本の内容を闘わせるのではなく、あくまでも格闘技を行うのは本と読者自身です。

 

−「読書は格闘技」という考え方に立つと、「良書」の定義も変わってくる。
普通、良書というと、書いてあることが正しいものであり、正しい考え方であると思われる。しかしながら、書いてあることに賛成できなくても、それが批判するに値するほど、一つの立場として主張、根拠が伴っていれば、それは良書と言える。私は筋金入りの資本主義者であるが、そうした立場からしてもマルクスは読むに値する「良書」と言えるのだ(作中 P8)

  ここで改めまして良書の定義を考えてみましょう。

私が一つ持っているのは「読後に、世界をより鮮明に見させてくれるもの」が一つの良書の定義です。ただ読書と置いていますが、これは他の事にも言えます。

読後に今まで気づかなかった感情や思想を自分に中に呼び起こしてくれるものが一つの定義です。小説を読んで感動したらそれは私にとって良書となります。

もちろんその自分に中に呼び起こしてくれるものが綺麗な感情であろうが汚い感情であろうが、また良くない思想と呼ばれるものであっても、なんらかの揺さぶりをかけてくれるものであるなら良書と言えます。こう書くと若干危うい考え方ですが、実際にそんな本は早々出合えておりません。

 

話が大分逸れましたが、読書とは一つに「格闘技である」

本作ではいくつかのジャンルに分けて2冊の本と闘っている著者が見えます。その切り口はどれもシャープでこの本を読むだけでも、多くの本の断片に触れることが出来ます。

ただあくまでも、読書とは・・・を考えたときの一つのアプローチの仕方ではあると感じています。それでもこの考え方は非常に大事なので、自分の中に持って行きたい本との向き合い方です。

また大学時代の恩師は本を読む時のスタンスの一つとして「本を読んでいるときはこの人が書いてあることは全て正しいと思って読みなさい。読み終わったら全部否定してみようとしなさい。」と仰っていました。考え方としては格闘技に近いのではないでしょうか。